大人のための携帯小説
「恋空」もいいけれど、
大人はもう少し歯ごたえのあるものを読みたいのでは...
そんな文学作品が携帯電話で手軽に快適に読めたら、
それはそれで楽しいのではないでしょうか。
携帯電話で文学作品を快適に読む方法を実践的に紹介します。
太宰、漱石、鴎外・・・文豪の名作を網羅する「青空文庫」というサイトがあります。
「青空文庫」は文豪の作品を多数取りそろえています。
携帯電話で読める電子ブックやテキストを販売するサイトはいくつかありますが、
骨太の文学作品を多数揃えているのは、無料のサイト「青空文庫」です。
ここには著作権の切れた作品や、著作権者が配布に同意した作品が6700以上収録されています。
たとえば太宰治は212作品、森鴎外94作品、夏目漱石100作品。
日本の文豪クラスは、ほぼ網羅しているといえるほどです。
携帯電話で文学を読むときは、
青空文庫の収録作品を携帯向けに見やすく検索して表示する
「携帯小説 携帯文豪」が便利だと思います。
また、携帯電話にテキストビューア機能があれば、
パソコンでテキストをダウンロードし、携帯電話に転送してもよいでしょう。
携帯電話で過去の名作と再会するのは、わりと簡単ですが、
ウェブやパソコンのテキストにはひとつ問題がります。
基本的に表示が横書きなのです。
流行の携帯小説はともかく、
昔の文学作品の大半は縦書きで執筆されています。
もともと縦のものを横にすると、どうにも読みづらく、
雰囲気が損なわれるように感じられます。
携帯上でも縦書きで読みたいところです。
それを可能にする携帯アプリやPCソフトが有料・無料でいくつか出ています。
たとえば、青空文庫などのテキストを
縦書きのJPEG画像で書き出すという、ユニークなPCソフトがあります。
ボイジャーという会社が開発したもので、
携帯電話やiPodやデジタルカメラ、PSPでも、画像を転送して縦書きで読めるのです。
読書派にはシャープ製携帯がおすすめです。
テキストの縦書き表示可能な「ブンコビューア」を内蔵しているので、
特別な作業はいりません。
パソコンで作品をまとめてダウンロードし、携帯(のSDカード)に放り込んでおく。
この読書環境はかなり快適です。
フォントはわりと綺麗で読みやすく、文字サイズは大中小の3段階で、
メインの中サイズ時には1行20字で表示できます(画面サイズは240×400)。
さらに、ルビ表示や禁則処理、レジューム(しおり)機能もあって、
ページを"めくる"のも簡単。
シャープの携帯電話は読書関係の機能が充実しているようです。
携帯小説風にブログを変換!
スパイスボックスのラボが「あたしブログ」を公開しました。
「あたしブログ」とは、あなたのブログを
「第3回ケータイ小説大賞」の大賞作品っぽく変換するというものです。
大賞作品は「あたし彼女」(kiki著)。
改行を多用し、「みたいな」が繰り返し出てくる独特の文体で、例えば
「彼氏? まぁ 当たり前に いる てか いない訳ないじゃん みたいな」
(スペースで区切った部分は、改行+1行空け)という調子になります。
あたしブログは、ブログのURLやRSSのURLを入力すると、
各エントリーのタイトルを携帯小説の章立て風に表示。
エントリーの冒頭の文章を文節や単語で区切って改行し、
ところどころに「みたいな」を挿入する、というもの。
変換後のトップページ(左)と、
記事の変換例 Webサイトでも利用できるようで、
ITmedia Newsで試してみたところ、携帯電話風の細長い画面に、
「第1章 さようなら、Transmeta」
「第2章 Google App E(E以下は省略された)」
など記事タイトル一覧が、ケータイ小説の章立てのようにずらりと表示。
タイトルをクリックすると記事の冒頭の文章がほぼそのまま表示されるが、
途中に改行がたくさん入り、最後に「みたいな」と付け足されて
“あたし彼女風”になっています。
例えば「渋谷に『お父さん犬の像』が登場」の記事なら、
「JR渋谷駅ハチ公口から ほど近くに
ソフトバンクモバイルのテレビCMで人気の『お父さん犬』像が
現れた みたいな」
といった調子で、まるでジョークニュースのように変換されます。
開発したのは同社の神部竜二さん。
ラボブログによると、ケータイ小説大賞が発表された25日に作り始め、
4時間ほどで完成して公開したとのこと。
その後、ブログを「あたしブログ化」するブログパーツやブックマークレットも追加してい
るそうです。
携帯小説ブーム終わった?
大ベストセラーを連発した2007年から一転、
「携帯小説」はここにきて盛り上りに欠けているようです。
ドラマ「恋空」の初回視聴率が夏ドラマで最下位だった上に、
書籍もこれといったヒットがありません。
携帯小説は飽きられてしまったのでしょうか。
携帯小説説は従来の小説と異なり、著者のほとんどが素人です。
難しい言葉は使わず、身近な言葉を使っていて読みやすいけれど、
メールやブログの延長のようでもあります。
また、学校内での恋愛をテーマにしたワンパターンな展開だと
読者から指摘もされているようです。
ところが、ケータイ小説を投稿したり、
自由に閲覧できるWebサイトでの人気は健在であるようです。
新しい形の小説としてジャンルが確立し、色んな作品が書籍化されるようになり、
読者が分散し、ベストセラーが生まれにくくなっています。
本が売れない時代、新たなヒットメーカーであるケータイ小説に
出版社としては今後も期待したいところですが、
読者からすれば携帯でメールやブログのように読めれば十分、
ということなのかもしれません。