携帯小説の誕生について
携帯小説といえば「恋空」が有名ですが、
携帯から生まれた小説が映画化されたことでも大きな話題となりました。
「恋空」は携帯小説として公開され、
「切ない」「泣ける」と女子中高生を中心にクチコミで広がり大人気となり、
書籍化され、発売されてから、わずか1か月足らずで
100万部を突破する大ベストセラー作品となりました。
原作者の実体験をもとに綴られた波乱のラブストーリーは、
携帯電話向けのネット上から広がったのでした。
携帯小説とは、携帯電話で執筆された小説(電子書籍)のことを指します。
携帯小説の元祖は Yoshi 氏といわれており、
2000年に携帯小説サイト「ザブン」を開設し、「DeepLove アユの物語」を発表しています。
Yoshi 氏の携帯小説は、10代から20代を中心とした
若者文化の2007年を代表する流行として注目されました。
携帯小説というをジャンルを確立したYoshi 氏は、、
本を読まない世代に興味を持たせたという点でも評価されています。
また、彼のもう一つの功績は、インターネットを利用したテキスト先行型の映画製作を
いち早く実践したということも挙げられます。
携帯で小説を発表し、そこで得た人気や利益などで
映画を製作するという手法の先駆者でもあったのです。
一方で、プロ作家としては
・極端に表現力が乏しい、
・文章が未熟である、
・不必要な性的描写が多い
などの悪い評判も多かったようです。
携帯小説の読者が増えていったことで書き手も増えていきました。
携帯小説は、携帯で投稿するだけで作品を発表できるという手軽さから、
作者の力量に関係なく作品が発表されていくことになります。
その結果、たくさんの携帯小説が氾濫してしまいます。
また携帯小説のポータルサイトも乱立している状況となっているようです。
良質の小説を読みたい場合には、
携帯電話で青空文庫の作品を読むことができます。
携帯小説の人気の理由
携帯電話のブラウザ上で読めて、誰でも気軽に書いて読めることから
10代の若者を中心に爆発的にヒットしています。
携帯小説は続々と書籍化もされ、
ガッキーこと新垣結衣ちゃん主演で映画も話題の『恋空』は、
現在195万部(!)も売り上げているとか。
実際に携帯小説サイトをのぞいてみると、
感想欄には
「マジ感動!」
「友達と一緒に号泣してます!」
「●●さんの作品、大好きです」
なんて書き込みがいっぱい。
女子中高生からこんなに熱いメッセージが届くなら、
携帯小説を私も書いてみたい!と思う人はたくさんいるのではないでしょうか。
携帯小説の人気の理由とは、いったい何なのか?
「日本ケータイ小説大賞」主催で 携帯小説サイト「野いちご」を運営する、
「スターツ出版」書籍編集部プロデューサー・小嵜力さんの話によると
「やはり携帯という身近なツールで文章を読めることが人気の理由らしい。
『本は難しくて嫌いだ』と思っている人も、
他人の日記を読む感覚で手軽に読み始めることができてしまう。
それから、一般の方が書いた作品が多いので、
表現がストレートで感情移入しやすいということもあります。
今は、携帯小説にもいろいろな作品があるけれど、
いじめや恋愛などを通じて感じた気持ちを、
気取らず素直な言葉で綴った作品が多く、
読み手が自分の日常と重ねながら「共感」できるということ。
最近は、
実話ベースのノンフィクション系恋愛小説だけでなく、
芸能人と主人公が恋に落ちるなどの妄想恋愛系も人気らしいです。
とにかく、携帯小説のキーワードは“共感”ということです。
ですから、もしこれから携帯小説を書いてみようと思うなら、
読み手が「共感」できる作品にするということにポイントをおいてみては...!
場所や人物を限定しすぎると、その場所に行ったことのない読者は、
自分の日常として想像できずに退屈してしまうので、
そのへんは読者の想像力を信じて任せた方がいいかもしれません。
それよりも、飾らない言葉でいいので、
主人公の気持ちが手に取るようにわかるくらい細かく描写して、
『この気持ち、私もわかる!』と、「共感」できる作品にすることが大事です。
すなわち、携帯小説には心に響くパワーが必要なんですね。